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07.08.11:10
粋な『やぼ』の天神
古くから多摩川段丘の豊かなわき水に恵まれた。今ではJR国立駅周辺に主役の座を奪われたが、かつては甲州街道の南側に集落があり、栄えた。
地名の起こりは諸説ある。豪族が湿地帯(谷)にとりで(堡(ほ))を築いたとか、古代律令(りつりょう)制のもとで字(あざ)を示す「保」が残ったとか。
一九五一年の町制施行前の村名は「谷保(やぼ)」。地元のお年寄りは今も「やぼ」と発音するため、古代人がわき出る泉を「ぼ」と呼んでいた説を唱える人もいる。
くにたち郷土文化館の学芸員氏原真琴さんは「国立には中世の資料がほとんど残っていないから、好き勝手な説がたくさん出てくる。そこがおもしろいところでもある」と語る。
湯島、亀戸と並び、関東三大天神の一つの谷保天満宮は「やぼ」を名乗り、極めて融通のきかないことを意味する「野暮(やぼ)天」の語源ともいわれる。時は江戸。神様が出雲に集まる神無月の十月、谷保天神のご開帳が目白であった。大田蜀山人に「神ならば 出雲の国に 行くべきに 目白で開帳 やぼのてんじん」とからかわれた-。
天満宮の権禰宜(ごんねぎ)菊地茂さん(54)は「土地の人は『やぶ』とも言う。参勤交代の行程表に屋武村、百年前の新聞には藪村と書かれている」。濁音が疎まれてか、いつのまにか駅名や、行政上の地名は「やほ」になった。
天満宮前を知らせる交差点の標識のルビには「YAHO」。菊地さんは「(YABOが正しいと)訂正を求めるようなやぼなことはしません」と笑った。
(末松茂永)
東京新聞
神社っていいですよねぇ
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